Paintings  Products  Press  Schedule  Diary  Mobile  Profile  Contact



うねる水面を二人で見に来た
ねっとりと痙攣する漣は
寄せるように見えて、退くように見える。

「ねえ、海の底で熱い水が湧き出していること、知っている?」
君は独り言のふりをして、私を験す。
私は海底の熱水に辿り着こうと試みるが
潜っても潜っても、冷たく暗い水ばかりで
やがて凍えて溺れてしまふ。

ねっりと痙攣する漣に
死んだ海月が浮いている。
「死んだ海月も刺すかしら、私の身体は痺れて海の底に沈むのかしら?」
そう云って君は、伸ばした指をゼラチンに押し当てる
白い指が血で汚れぬかと凝視する。

潮と湿りを孕んだ風が私を痛めつける
漕いでも漕いでも、暗く冷たい水面だ。

「もふ帰ろう、私の部屋で君を描こう」



(C) Ikenaga Yasunari 池永康晟